届け、この想い~先生と私とチューリップ~
~もう1つのエピローグ~
「ね、剛志!!ここに来るの、久しぶりだね!!」
「そうだな。美紀のお腹が大きくならないうちに、また来たかったんだ。俺が、教師1年生だった時の思い出だからな……」
子供連れの夫婦が、手を繋ぎ、寄り添いながら歩く。
「おい、杏。俺、こんな安いスーツで大丈夫かな」
「大丈夫だって!!裕太は心配しすぎだよ」
「はぁー『お嬢さんと結婚させてください』なんて、言う日が来るとは」
1組のカップルは、雪が降りそうな灰色の空を見上げた。
そして―――――――
「剛志?どうしたの?」
「あ、いや……」
「杏?知り合いだったのか?」
「えっ、ううん!!」
それぞれの幸せが
街ですれ違った―――。
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「ちょっと、昔の生徒に似てたかな」
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「昔、好きだった人に似てた」
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2人の心に、懐かしく、ちょっぴり寂しい思い出が過ぎる。
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「あ……裕太!!見て!!」
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「美紀!!空、見てみろ」
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『白い花が降って来たよ!!!』
-END-