届け、この想い~先生と私とチューリップ~
恐る恐る顔を上げて、教卓の前の先生を見ると、目が合った。


先生は、ぷっと少しだけ頬を膨らませた。



可愛い……。



チラッとチューリップを見ると、風に揺られ、笑っているように見えた。




×××





「じゃー歴史の授業終わり。藤田さんは、よそ見してた罰として、放課後、数学教科室に来るように」


先生に、にっこりと笑われた……。


怒られるかもしれないけれど、ちょっと嬉しい……。

先生の笑顔が、私の鼓動を早くさせる。


いつもそう。


先生の笑顔で、優しい声で、私は幸せになるんだ。




出来れば……



その笑顔を



優しい声を



他の人に向けないで…………。





先生に届かない、私のわがままな、願い。





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