似非王子と欠陥令嬢
キャロルがそんな事を考えている間にルシウスの婚約者候補達とのダンスは終わったらしい。

アグネス嬢とフワリー嬢は殿下とお話するチャンスと言って行ってしまう。

入れ替わりに役目を終えたレオンがこちらにやって来た。

「お疲れキャロル!
飯食おうぜ飯!
後はリアムさえ殿下についておけば良いから。」

「そうなんですか。
あっ先程はアグネス嬢とフワリー嬢に上手く言って頂いたみたいでありがとうございます。」

「いやいやいいって別に。
幼なじみがやらかした事だからむしろ俺が謝る話だからな。」

レオンが屈託なく笑いながら言う。

こいつは良い奴なのだ。

馬鹿なだけで。

「じゃあキャロル、俺は挨拶に行って来るからな。
レオン様、すいませんがキャロルをお願い致します。
キャロルも良い子にしとくんだぞ。」

「りょーかーい。」

「分かりました。」

「さっキャロルこっちこっち。
料理食べに行こうぜ!」

レオンに案内されビュッフェ形式に料理の乗った大皿が置かれているコーナーに移動する。

給仕から皿を受け取り少しずつ色々盛っていく。

なかなか楽しい。

招待客達は会話が忙しいのか料理には全く手を付けられておらずゆっくり選べるのも有り難い。

「あっキャロル飲み物どうする?
アルコールは蜂蜜酒かワインかシャンパンになるけど。」

「あーじゃあ赤ワイン下さい。」

「はいよ。」

レオンと手分けしながら料理を確保したテーブル席に並べていく。

なんだか市場の時を思い出した。

「腹減ったー。
よしじゃあキャロルお疲れ!
乾杯!」

「お疲れ様です。」

軽くグラスを持ち上げ揺らす。

正直夜会自体はまだ開始直後に近いがキャロルとレオンの中ではもう終わりなのである。

リアムが聞いたら軽く殴りそうではあるが。

「あっキャロルこの仔羊の香草焼き食べてみろよ。
これは超オススメ。
俺何回も味見したもん。」

「それは最早味見ではないかと…あっうま。」

「だろ?!
酒にめちゃくちゃ合うんだよこれ。」

「この材料何か分かんないですけどテリーヌも美味しいですね。
ワインが進みます。」

「あっそれは豚だな。」

今日の夜会のメニューを全て決めたのは本当だったらしく豚の産地まで答えてくる。

料理に全力を注いだというのは事実だったようだ。
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