似非王子と欠陥令嬢
それを聞いてもドス黒い紫に光る水晶を見てレオンも腰が引けている。

明らかにヤバい物だと色で分かる。

触っていい代物だとは全くもって思えない。

『…以前は50年毎に地上から巫女の一族から1人が来て浄化しておった。
だが150年前何者かが巫女の一族を殺しゴーレムの核を壊し道を閉ざしたのだ。
その時次代の役割を担う龍となるはずだった卵も割られてしまったのだ。』

「…何故貴方自身で道を開きに行かなかったのですか?
龍でありここの遺跡の主たる貴方なら簡単な話だったはずだ。」

『言ったであろう、次代の龍の卵があったのだと。
…儂ももう老いた。
とうの昔からもう体を動かす事も出来ぬのだ。』

龍は優しく目を細める。

尾を少しだけ動かし先に置かれている丸い卵を指した。

『…あの後生まれた儂の最期の卵だ。
あれが生まれたらカロンに託し儂は儂の持つ力の全てを渡し消えるであろう。
もう儂はこの土地を守る力も浄化する力も使えぬのだよ。
水晶に負を溜め巫女に浄化して貰わねばならぬ程に老いたのだ。』

「…だから地上が枯れ果てたのですか?
誰も浄化する者がいなくなったから。」

リアムの問いかけに頷く様に龍は目を閉じる。

一体誰が巫女を殺し道を閉ざしたのだろうか。

一体何の為に次代の龍まで殺して枯らしたのか。

レオンが決心したのか大きく息を吸い込んだ。

「分かった。
手を当てれば良いんだよな?」

「待てレオン。
俺もやる。
何かあったら不味い。」

何故か毛玉もやる気らしく前足をすりすりと擦り合わせていた。

巫女の変わりが魔獣はさすがに不味いのではないだろうか。

止めようにも声が出せないのだが。

ただリアムもその疑問を抱いてくれたのか毛玉を抱え水晶から離してくれた。

「…行くぞ。」

「おう!」

2人が水晶に手を当てる。

その瞬間視界が真っ白に染まったのだった。
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