似非王子と欠陥令嬢
「…何かルシウス君ってキャロルさんとレオン君のお兄さんみたいですよね。」

「あら私は保護者に見えましたわ。
お父様みたいだと。」

そんな2人の口撃にルシウスがまた凹みリアムは必死で慰めていた。



「そういやさキャロル。
いい加減教えろよ。」

「ん?
何をですか?」

5限目の講義は近代史だ。

覚えている事ばかりでつまらないと窓の外の雲を眺めていたキャロルにレオンが小声で話かけてくる。

「何か最近ずっと殿下とコソコソ何かやってるだろ。
仲間外れなんて水臭いぞキャロル。」

「あー…そうですねえ。」

コソコソやっているのは言わずもがな禁術についてなのだがずっと一緒にいるレオンならそりゃ気が付いて当たり前である。

「…コソコソやってるのは事実なんですがまだレオンに話せる物をこちらは用意出来てないんですよね。」

「はあ?」

「要は手伝って貰うとか協力して貰うとしてプレゼンするなら根拠や資料がいるでしょう?
それが全くないんですよね。」

「…意味が分からん。」

「まあ整ったら殿下から1番に話が行くと思いますよ。
幼なじみですし。
殿下からすれば悩まず味方だって言えるのはリアムとレオン位でしょうから。」

「まあそりゃな。」

1番に話が行くと聞き気分が良くなったのかレオンの機嫌が少しだけ治る。

仲間外れにされて実はいじけていたらしい。

「でも別に幼なじみなんだし根拠とかなくたってルシウスが説明してくれたら協力するのにな。」

「…だからですよ。」

絶対的な味方だと分かっているからルシウスはきっとレオン達を巻き込めないのだ。

大事だからこそ根拠がないからと言い訳をしてレオン達を遠ざけている。

相手が王妃だから。

もし負ければ反逆罪として首が飛ぶかもしれないから。

負けた時命が助かるのはルシウス位だろう。

それが分かっているから巻き込む訳にはいかないのだ。

「…ほんと仲良いですよね。」

「ん?
キャロルだって仲良いだろ?」

「私は…いえ、何でもないです。」

キャロルがもしルシウスだったとして必要だと思えばレオンに助けを求めてしまうだろう。

自分を犠牲にしてでも他人を守るなどキャロルには出来ない。

レオンもきっとルシウスの為ならば命だって差し出すに違いない。

そんな友人などキャロルには一生出来る気がしないが。
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