似非王子と欠陥令嬢
「…その話を誰かになさいましたか?」
キャロルの問い掛けに彩花嬢は首をふるふると横に振る。
「ううん。
頭おかしいって思われるかもって誰にも言ってない。
キャロルさんはその辺緩いから大丈夫かなって。」
キャロルは苦笑いを浮かべた。
どんなイメージを持たれているのだろうか。
だがお陰で助かった。
「そうですね。
話さない方が良いと思います。
他国では魂という概念はありますがこの国の宗教ではありません。
人は死ねば消えるというのが通常です。
魂云々等と話せば下手したら殺されます。」
「うそ!
ほんとに!?」
「えぇ。
ですので内密に。」
「宗教って怖いんだね!
日本はその辺緩かったよ?」
「宗教で争う位ですからね。
異端は排除しようとするのが常です。
…殿下の事は分かりました。
考える時間を下さい。」
「うん分かった。
…でも大丈夫?」
「何がですか?」
「元々細いのにガリガリになってるよ?
クマもひどいし。
ご飯食べてる?」
キャロルは自分の頬を触る。
そんなにも痩せただろうか。
自分では分からない。
心配そうな彩花嬢にキャロルは自嘲気味に笑う。
「ご心配ありがとうございます。
…けれど時間は残されてないみたいです。」
「え?」
「すいません。
忘れて下さい。
…失礼します。」
「う、うん。
またね?」
困惑する彩花嬢を置いてキャロルは足早にその場を離れた。
眉唾物の話だ。
とても仮説と言える様な代物ではない。
だが有り得ないと切り捨てる事は出来なかった。
キャロルを庇う直前にあいつは既に死を覚悟していた節さえあった。
魂がどこかに移動したのであれば選択肢は少ない。
あの場にいたのはアルバート公か母親か自分。
キャロルは壁を蹴り上げる。
「…ふざけんな糞王子。」
ーその時には私の命をあげるから。
「そんな物…いらないって言ったのに。」
ーだから私を信じて欲しい。
「……ほんっとに…バカばっかり。」
移したとしたら自分しかないだろう。
そんな価値自分にはないだろう。
そんな物貰えないと言うのに。
「ほんと…有り得ない…。」
キャロルは項垂れながら笑う。
道標は見えた。
あと必要なのは覚悟だけだ。
キャロルの問い掛けに彩花嬢は首をふるふると横に振る。
「ううん。
頭おかしいって思われるかもって誰にも言ってない。
キャロルさんはその辺緩いから大丈夫かなって。」
キャロルは苦笑いを浮かべた。
どんなイメージを持たれているのだろうか。
だがお陰で助かった。
「そうですね。
話さない方が良いと思います。
他国では魂という概念はありますがこの国の宗教ではありません。
人は死ねば消えるというのが通常です。
魂云々等と話せば下手したら殺されます。」
「うそ!
ほんとに!?」
「えぇ。
ですので内密に。」
「宗教って怖いんだね!
日本はその辺緩かったよ?」
「宗教で争う位ですからね。
異端は排除しようとするのが常です。
…殿下の事は分かりました。
考える時間を下さい。」
「うん分かった。
…でも大丈夫?」
「何がですか?」
「元々細いのにガリガリになってるよ?
クマもひどいし。
ご飯食べてる?」
キャロルは自分の頬を触る。
そんなにも痩せただろうか。
自分では分からない。
心配そうな彩花嬢にキャロルは自嘲気味に笑う。
「ご心配ありがとうございます。
…けれど時間は残されてないみたいです。」
「え?」
「すいません。
忘れて下さい。
…失礼します。」
「う、うん。
またね?」
困惑する彩花嬢を置いてキャロルは足早にその場を離れた。
眉唾物の話だ。
とても仮説と言える様な代物ではない。
だが有り得ないと切り捨てる事は出来なかった。
キャロルを庇う直前にあいつは既に死を覚悟していた節さえあった。
魂がどこかに移動したのであれば選択肢は少ない。
あの場にいたのはアルバート公か母親か自分。
キャロルは壁を蹴り上げる。
「…ふざけんな糞王子。」
ーその時には私の命をあげるから。
「そんな物…いらないって言ったのに。」
ーだから私を信じて欲しい。
「……ほんっとに…バカばっかり。」
移したとしたら自分しかないだろう。
そんな価値自分にはないだろう。
そんな物貰えないと言うのに。
「ほんと…有り得ない…。」
キャロルは項垂れながら笑う。
道標は見えた。
あと必要なのは覚悟だけだ。