似非王子と欠陥令嬢
「王妃陛下は僻地で生涯幽閉、アルバート公は隣国で処刑されたと聞いてますし障害はなくなったはずですよね?
なのにまだ結婚してないなんて…。
婚約者候補ブチ切れてるんじゃないですか?」

「婚約者候補は目覚めてすぐ全員帰された。
これも言ってなかったか?」

「記憶にないですね。
てかなんで帰したり…。
まさか全員に断られた?」

「お前の殿下のイメージ相変わらず酷いよな。
ちげーよ。
殿下が頭下げて全員断ったんだ。」

「見合いにかかった税金をなんだと思ってるんですかね。」

「突っ込むとこそこなんだ。」

「平民なんで。」

キャロルも手を伸ばし果実をもぎ取る。

瑞々しい果汁が口いっぱいに広がった。

レオンがもいだ果実を毛玉に渡すと毛玉もガジガジと噛み砕いている。

「だから既にハリー第二王子は聖女と結婚してるけど王太子がまだって事で変な噂が流れて参ってんだよ。」

「変な噂?」

「殿下も聖女を狙ってたけど弟に負けたとか実は男が好きだとか。」

「まあそりゃそんな噂もたちますよね。」

「…誰のせいだと。」

レオンが恨めしげにキャロルを睨む。

「私そんな噂流してませんよ。」

「知ってるわ。
そういう意味じゃねえわ。」

「あっ良い案思い付いた。」

「何だよ?」

「魔物の中に美人なのいたじゃないですか。
その中なら殿下も選ぶんじゃないですか?
ほら魔物馬鹿らしいですし。」

「お前王族の結婚舐めてるだろ。」

「舐めてませんよ失礼な。
性的趣向がそっちならもう仕方ないじゃないですか。
最近ケモナーとかあるらしいですし。
諦めて受け入れましょ。
ケモナーの王太子。」

「そんな国滅びるわ。
むしろ俺が宰相として全力で滅ぼすわ。」

ちぇーっとキャロルは口を尖らす。

中々堅実な案だと思ったがダメだったらしい。

レオンが空を見上げながら呟く。

「…こりゃ会っても殿下大変だよなあ。
相手はより引き込もった令嬢だもんなあ。」

「そうやってサラっと人をディスるのやめてくれません?」

「事実だろうが。
そもそも何で塔から出てまた引き込もってんだよ。
自由に旅するとかないのかよ。」

「まあよく考えたら色々行きたい所あったんですけど動くのって面倒臭くて。」

「ならもう塔にいてくれたら良かったじゃねえか。」

「平民なんで無理ですよ。」

「あーもう揚げ足取りやがって!」

レオンがぎゃいぎゃい喚く間に街が見える。
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