月と太陽-密愛- 【コラボ企画】
一ドンッ
「あっごめんなさい!!」
「いえ、こちらこそ…」
前も見ずに歩いていると、前から来た人にぶつかった。
「……陽君の…お姉さん…!?」
「えっ…!?」
「あっすいません
私、夏目望加です…今、陽君と付き合っています」
ペコッ、と頭を下げる彼女は、頬が赤くて、少し嬉しそうに見えた。
「あっよろしくね、うちの陽を…
あいつ、まだ中坊のくせにいろんな子と付き合ってたから心配してたんだ〜」
ケラケラ笑いながら、私は少し引き攣った顔を隠そうとしている。
「望加〜何してんの?早く行くよ」
「待って〜…あっじゃあ、今から授業なんで、失礼します」
「ばいばい」
友達に呼ばれていく彼女の後ろ姿から目が離せなかった。
可愛らしくて、無邪気な笑顔を見せる彼女…
夏目 望加《ナツメ モカ》−15歳
いつもと同じ、ただの陽のファンにしか見てなかった。
あの子の本気の想いに、まだ気付いてなかった。
.