月と太陽-密愛- 【コラボ企画】


「そう言えば、満月はこの曲、好きだったわよね」

「あっうん…」


洗いものに加わってきたお母さんが、思い出したかのように言う。


「確か…愛しい君…とか言う、ドラマの主題歌だったわよね…」

「えっ!?
そんなタイトルだっけ?」

「そうよ?
あんた主演の沖田さんが好きで、CDまで買ったじゃない」


…じゃあ、あの言葉は何?


記憶を呼び起こしても、全然心辺りがない。


鼻歌混じりに食器を拭いてるお母さんの横で、私はただひたすら思い出そうとしていた。




「…満月、何難しい顔してんだ?」

「かっ…考え事…」


不意に声をかけられ、私はとっさに陽から顔を反らした。


やばい…まだ、顔見れない。


「満月?どうかしたの」

「ううん…何でもない。」




消さなきゃ…


こんなモヤモヤ、消さなきゃ…。



だけど、そう思えば思うほど、
いつしかこの気持ちは、膨れ上がっていっていた。





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