月と太陽-密愛- 【コラボ企画】
近すぎる君
今でも覚えてる。
君に恋に落ちた瞬間のことを…。
その時はまだ、
ありえないと思って、気にも止めてなかったけど、
私の想いは、あの日から始まったんだ。
始まりは10年前。
私が高1で、君が中3の時から。
「満月ー、いい加減にしないと遅刻すんぞ!?」
「う〜ん…後、5分…」
「5分で起きたためしなんかないだろ?」
ズカズカと音を立てながら、寝ぼける私の元にやってくる。
「早く起きれっ!!」
「ギャー寒い!!」
取られた布団によって、
一気に寒さが押し寄せる。
仕方なく起き上がると、いつものように寝癖を直す。
「おそよう」
「っるさいな〜」
寝起きの悪さに加え、布団を剥ぎ取られたことによる、怒りをぶつける。
「どうでもいいけど、早く着替えろよ」
「分かってるから」
部屋を出ていく君に向かって、おもいっきり睨みをきかした。
綾瀬 陽《アヤセ ヒナタ》−14歳
…私の弟。
なのに、始まる感情があるなんて、知らなかった。
一…この日までは…。
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