月と太陽-密愛- 【コラボ企画】

近すぎる君





今でも覚えてる。


君に恋に落ちた瞬間のことを…。


その時はまだ、
ありえないと思って、気にも止めてなかったけど、
私の想いは、あの日から始まったんだ。









始まりは10年前。



私が高1で、君が中3の時から。






「満月ー、いい加減にしないと遅刻すんぞ!?」

「う〜ん…後、5分…」

「5分で起きたためしなんかないだろ?」


ズカズカと音を立てながら、寝ぼける私の元にやってくる。


「早く起きれっ!!」

「ギャー寒い!!」


取られた布団によって、
一気に寒さが押し寄せる。


仕方なく起き上がると、いつものように寝癖を直す。


「おそよう」

「っるさいな〜」


寝起きの悪さに加え、布団を剥ぎ取られたことによる、怒りをぶつける。


「どうでもいいけど、早く着替えろよ」

「分かってるから」


部屋を出ていく君に向かって、おもいっきり睨みをきかした。




綾瀬 陽《アヤセ ヒナタ》−14歳



…私の弟。






なのに、始まる感情があるなんて、知らなかった。





一…この日までは…。




< 7 / 30 >

この作品をシェア

pagetop