月と太陽-密愛- 【コラボ企画】
「じゃあ今日、授業終わったら高等部に行くから、帰んなよ!」
「分かってるよ〜
そう何度も言わなくていいから」
ガタン、と簀の子の上に無造作に置かれた上履きを履きながら、
陽は何度も同じことを言ってくる。
「だってお前、去年すっかり忘れて、先に帰ったんだぞ」
まるで小姑。
陽はいちいち私がすることに、ケチを付けてくる。
世話好きと言うか…
お節介と言うか…
まあ、私の性格にも問題があるからだと思うけどさ。
「その熱心さを、少しは彼女に回せばいいのに…」
「はっ……!?」
嫌味っぽく言うと、陽は釈に触ったのか、少し眉がつりあがった。
「…何で彼女いること知ってんの?」
「そりゃあ〜私の弟君は、有名ですから、ね」
「……あっそ。
ってか、絶対に忘れんなよ」
「分かったよーっだ」
何にいらついてんだか知らないけど、
上から目線とかやめてほしいんだけど。
そんな気持ちを飲み込んで、中等部の階段のぼっていく陽の後ろ姿を眺めている。
「あっ…こんなことしてる場合じゃない」
急いで高等部の階段を駆け上がる。
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