もしも、風船になれたなら
もしも、風船になれたなら


私は誰も知らない場所を目指すだろう


自由な風の吹く空の上


高いコンクリートのビルを通り抜け


太陽のぽかぽかした日差しを浴びながら


目指すは遠い彼方の国






もしも、風船になれたなら


空に浮き続けることの意味を


考えたりはしないだろう


どうして飛ぶの? どうしてここにいるの?


そんな気難しい考えよりも、先に


静かな夜空に降る星の光が


私の心を満たすから




もしも、風船になれたなら


他の風船と自分を比べることなんて


しないだろう


あの風船のほうが高く飛んでいる


あの風船のほうが私より大きい


地平線の広さに比べたら


そんなことはどうでも良いと


割り切れてしまうのに




もしも、風船になれたなら


私は地上へ降りてくることはないだろう


悲しいことも 苦しいことも


全ては、空の下にあると気付く


空を飛べるのなら、


いっそのこと逃げてしまいたい


辛い過去や、現実からも





もしも、風船になれるなら


私は今日も想い描くだろう


コンクリートの箱が建ち並ぶ街の中


心の隅に残っている純粋な夢や気持ち


いつか無くなるその日まで


青空に憧れを抱き続けるだろう
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