お試しから始まる恋

 しばらくして。

 颯は楓子を抱きしめていた。

 2人でベッドに眠って、体を寄せ合って、直接触れる体温を感じている。


 ちょっとぐったりしている冬子の頭を、颯はそっと撫でた。


「ごめん。・・・痛かった? 」

「大丈夫です・・・」

 少し恥ずかしそうに冬子は答えた。

「お前最高。こんなに体から喜び感じたのは、初めてだよ」

「私も・・・」


「また、ここに来ているれるか? 」

「・・・はい・・・」

 小さく答える冬子。

 そんな冬子が可愛くて、颯はギュッと抱きしめた。


「お前、仕事頑張りすぎているのか? 倒れそうになった時は、心臓が止まりそうだったぜ」

「すみませんでした。・・・ここのところ帰りが遅くて、あまり寝ていなかったので・・・」


「そんなに大変なのか? 」

「あ、いえ・・。たまたま、そんな日があっただけです・・・」


 そう答える冬子は、何かを内に秘めているような辛そうな目をしていた。

 そんな冬子を、颯はまたギュッと抱きしめた。


「俺、なんでも話し聞くから。何でもいいから、話してくれるか? 力になれるかどうかは判らないが、話しを聞いてもらうだけでも気持ち違うだろう? 」

「・・・はい。・・・そうします・・・」

 素直に颯に寄り添う冬子は、見かけよりずっと華奢な女性に見える。

 
 こんなに優しい人が・・・傍にいたんだ・・・。

 冬子は颯に寄り添って、そう思った。
 

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