お試しから始まる恋
第2章 恋の始まりは・・・?
それから数日後。
颯はあれから冬子に毎日のようにメールを送っている。
携帯番号を教えてと、颯が頼むと、冬子はとても躊躇していた。
「絶対に誰にも教えたりしないから」
と、颯が言うと、やっと教えてくれた冬子。
毎日メールをしている颯だが、冬子からの返信は戻ってこない。
電話をかけても、冬子は電話にでない。
それでも颯は毎日、冬子にメールを送っていた。
そんなある日だった。
颯はいつものように仕事へ向かった。
出勤途中、駅前の噴水で同級生だった菅生純也(すごお ・じゅんや)を見かけた。
純也はの颯の同級生で、仲が良かった生徒だった。
同窓会には仕事で来れないと言って、参加していなかった。
颯とはまたタイプが違う、爽やかな優しいイケメンの純也。
スラッとしていて長身で、軽やかな茶色い髪が優しさを漂わせている。
ほっそりとした輪郭に、ぱっちりしたキリットした目に高い鼻。
誰にでも優しく、慕っている生徒は男女問わず多くいた。
10年経過して、今では結婚して3歳の娘がいる。
仕事は自営でITの仕事をしている純也。
颯は懐かしくて、純也に声をかけようと歩み寄ろうとした。
が・・・
「え? 」
驚きの声をあげて、颯は足を止めた。
純也の傍に冬子がいたのだ。
純也はとても焦った顔をしている。
冬子は見下した目で純也を見ている。
ひたすら何かを否定している純也。
冬子は純也を睨みつけると、そのまま去って行った。
去り行く冬子を愕然として見ている純也。
「純也と冬子、どうして・・・」
困惑している颯。
その日はそのままいつも通り、仕事へ向かった颯。