お試しから始まる恋
「はい、もしもし・・・」
(あ、颯か? )
「あれ? 宗次? どうしたんだ? 」
(ああ。純也のニュース見たか? )
「ああ、今ニュースで見たよ」
(そうか。実は、俺の所に早杉から電話がかかって来たんだが。同窓会で、名簿配ったりされたか? )
「いや。そんな事はなかったが? 」
(そうなんだ。突然電話がかかって来たから、驚いたんだけど。・・・早杉は同窓会に来ていたのか? )
「ああ、来ていた」
(・・・そうか・・・来ていたのか・・・)
宗次の返事がなんだかおかしい。
颯は言いしれない違和感を感じた。
(あのな颯。・・・お前に相談したい事がある。今夜会えないか? )
「今夜? ああ、構わないが」
(じゃあ19時に、駅前で待ち合わせでいいか? )
「分かった」
(宜しく)
枝川宗次は、颯の中学からの同級生で高校も同じだった。
大学進学で別々になったが、連絡は取りあっていてお互い1年に一度は会っていたが3年前から宗次が結婚して海外に行くようになり、時々メールをしているくらいだった。
直接電話がかかってくるのは2年ぶりだった。
冬子が宗次に電話をして来たことが、ちょっと気になっていた颯。
とりあえず約束の時間に宗次に会って、話しを聞こうと思った。
バタバタとした朝を迎え、颯は仕事に向かった。
通常通り仕事をしている颯。
お昼になり。
颯は近くのカフェでランチをしている。
一緒にランチしたいと言ってくる女性もいるが、一人でランチは過ごしたいと言って、颯はいつも1人で過ごしている。
いつも通りランチに向かう為、カフェへ歩いている颯。
「ん? 」
メールが届いたようで、携帯のヴァイブが響いた。
知らないアドレスからのメールに、颯は首をかしげた。
開いてみると・・・
「な、なんだ? これ・・・」
メールには写真が添付されていた。
その写真は高校の制服を着た女子が、血まみれになって刺されている姿だった。
制服は無残に引き裂かれ、女子の体が血まみれで露わになっている。
顔も血まみれになっているが・・・
「ん? 」
女子の顔をよく見ると、冬子に似ている。