お試しから始まる恋
 そして写真の最後にメッセージが書かれている。


 そこには

(早杉冬子は死んでいる。11年前に殺されている・・・)

 と、書かれていた。



「何だよこれ・・・」


 真っ青になり、颯はその場に佇んでいた。



 メールを見て、颯は気分が悪くなり午後から早退して帰宅してきた。




 家に帰ると、リビングのソファーにゴロンと寝転んでしばらく天井を見上げていた颯。


 颯は高校生の時の冬子を思い出していた。


 高校生の時、冬子はいつもマスクをしていた。

 髪はショートヘヤーで、ボーイッシュにしていた。


 誰とも関わろうとしない冬子。

 友達も作ろうとしていなかった。


 2年生の時に1ヶ月ほど休んでいた時があった冬子。

 1ケ月して戻ってきた冬子は、以前と変わらずマスクをしてショートヘヤーで、誰とも関わろうとしなかった。


 卒業前に冬子に声をかけた颯だったが、驚いた目をして逃げてしまった冬子。

 それっきり声をかけれないまま、忘れられない颯だった。



(お試しで・・・それで構いませんから・・・)

 そう言って交際を承諾してくれた冬子。

 そして、その日に一線を越えてしまった・・・。

 その冬子が・・・死んでいるなんて、誰がメールを送って来たのだろうか? 


 颯はもう一度メールを見てみた。


 アドレスは使い捨てのセカンドアドレスのようだ。


 写真は何度見ても冬子にしか見えない。

 しかも制服も総有高校の制服である。


「どうゆう事なんだ? 」


 ため息をついて颯が考え込んでいると、携帯のヴァイブ音が響いた。

 着信は知らない番号からだ。


 颯は黙ったまま電話に出た。


 相手は何も言わない。


 颯も黙ったまま様子を伺った。



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