お試しから始まる恋
「お前・・・邪魔する気か? 」

 男はナイフを冬子に向けた。

「邪魔をしているのは、貴方です」

「はぁ? 俺が? 冗談じゃない! 俺は・・・仇をうってやったんだ! 」


 ナイフを冬子に向けて、男はにじり寄ってゆく。


「純也って男も、宗次って男も。殺人犯じゃねぇか! なんで、のうのうと生かしておくんだ! 」


「話しは署で伺います。ナイフを降ろして下さい」


「警察が何をしてくれるんだ! あの時だって、動かなかったじゃねぇかよ! 」


 叫びながら、男はナイフを持ったまま冬子めがけて飛び込んでい行った!


「あ・・・」

男のナイフが冬子に刺さりそうになった寸前。


 サッと冬子は男を交わした。


「くそっ! 」


 ムキになって、またナイフを振りかざす男を、冬子はサッと交わし、腕を捕まえてねじ上げた。


「痛っ・・・」


 カラン・・・

 ねじ上げられた痛みで、男の手からナイフが落ちた。


「あ、いたぞ! 」


 数名の警察官が駆け付けてきた。

 冬子はポケットから手錠を取り出した。


「殺人未遂で逮捕します! 」


 ガチャっと、手錠をかけられ両手を塞がれると、男は観念したかのように項垂れた。


 他の警察官が男を取り押さえ連れて行った。




「怪我はありませんか? 」


 他の警察官が颯の傍に行った。


「あ、はい。これを狙っていたようです」

 颯は封筒を警察官に渡した。


 警察官は中を確認した。


 封筒の中には写真と、複数の紙が入っていた。


「分かりました、これは預かります」

 警察官は封筒を受け取ると、男を連行する警察官の後に続いた。

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