お試しから始まる恋
「さすがに寝ている時は、眼鏡外さないと危ないよな」

 颯は冬子の眼鏡を外し、枕元の床頭台の上に置いた。


 ふと、眼鏡を外した冬子を見ると、颯は息を呑んだ。

 眼鏡を外した、冬子はとっても綺麗な顔をしている。

 大きな眼鏡で低く見えていた鼻は、スッと筋が通って高い鼻をしている。

 唇も魅力的で、全体的に美人系の顔をしている。


 どうして大きな眼鏡なんてかけているのだろう?

 眼鏡のせいで随分と暗い顔に見えているなんて、勿体ないなぁ。


 颯は思った。


 


 しばらくすると冬子は目を覚ました。

 颯の家にいる事に、非常に驚いた冬子だったが、颯に宥められ少しだけ落ち着いたようである。



「これ飲んで。ちょっと温まった方がいいから」


 可愛いマグカップに暖かいココアが。


 マグカップを受け取ると、甘いココアの香りが冬子の心を落ち着かせてくれた。


 

 ゆっくりと、素直にココアを飲む冬子を見ていると、とても可愛くて、颯の胸はキュンとなった。


 こんな気持ち何年ぶりだろう・・・。


 颯は冬子を見ていると、なんだか幸せな気持ちになれた。


「ごめん・・・突然驚かせて・・・」

 
 謝る颯を、冬子はそっと見つめた。
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