雪道
「…[大好きだよ…あたしの考えてること分かんなくても。]」
「…!」
…耳が熱い。
ヤバイ…たぶん顔も赤いな…。
「あー!照れてる!!」
新しいおもちゃを見つけた子供のように、咲の目は輝いていた。
「うるせぇよ!!…早く家入るぞっ!!」
「はーい♪」
咲の右手をひいて自分の家まで歩く。
小さくて少し冷たい手が、愛しくて。
昨日までは、[好きだ]って実感あんまりなかったとは思えないぐらい。
「…本当はね、ちょびっとだけ宏光のこと待ってたんだよ。」
「え?」
「…さっきの質問の答え。」
『お前、その時間までココにいるつもりだったの?』
「…あー、そうなんだ?」
口では平静を装いながらも
思わず顔がにやける。
そんな言葉聞けるなんて思わなかったから。
「顔…にやけてるよ…バカ。」
「なっ…バカじゃねぇし!!」
ねぇ、知ってる?
俺が こんな時間すら愛しくて仕方ないこと。
「…明日も雪降ったら良いね。」
「そーだな。」
雪が降ったら、
今度は一緒に帰ろうな?
たった15mじゃなくて。
学校から家までさ。
Fin…?