雪道
「…宏光見下ろすのも少し良いしなぁ~。」
ふと気がつくと咲の目は、空ではなく俺を捕らえていて。
いたずらっぽく笑っていた。
「…ばーか。俺よりチビのくせに。」
咲よりは高いけど、俺はあんまり大きい方じゃない。
でも、別にコイツなら
背のことを言われても、ちっともムカつかない。
素直になれなくて、つい憎まれ口を叩いてしまうけれど。
「…っ、ほら、もう降りるぞ!?」
「!? きゃ…!」
一向に塀から降りない咲を、ひょいっと抱きあげた。
俺よりも更に小さな体は
思ったより すごく軽くて。
「ちょっ…降ろしてよ!」
珍しく、顔を赤らめて言われると
つい意地悪したくなる。
「やーだ♪」
「…バカ。」