俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
担当している会社の日計表から収支を入力して試算表を出すのが日々の仕事で、決算のときはそれに加えて次期に繰り越すものなどをきちんと把握し、入力する。
よく友達からは「税理士事務所って、確定申告以外のときはなにをしているの?」とか聞かれるけれど、入力は毎日あるし、会社によって決算のタイミングが違っていて毎月申告をしている。
最終的な確認や申告自体は税理士の人にしてもらうので、責任はほぼその人たちにかかってしまう。だからこそ、ミスがないように日々の業務に気を配る。数字や科目を間違えれば、完璧な決算書は作れなくなってしまうのだ。
パソコンに向かってばかりではあるけれど、日計表からはそれぞれの会社や人柄が滲みでていて案外面白い。
いま、手元にある仏具店だとお香の匂いがするし、魚屋さんだとちょっと生臭かったり、不動産会社だと数字の動きが大きくて感覚がマヒしそうになる。
個人だときっちり内容と数字を書いて管理している人もいれば、こっちにお任せと言わんばかりの走り書きと集めただけのレシートを持って来る人もいたり。
レシートや領収書で新しいレストランを発見することもあるし、ついでに行かずとも店の相場がわかるので貴重な情報収集の場であったりもする。もちろん、個人情報は厳守。
地味な仕事でも、毎日小さな楽しみや幸せを見つけて、この仕事と向き合っていた。