俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「いいよね、そういう雰囲気」
「広瀬さんこそ、人目を惹きつけますよ。華やかで明るくて、太陽みたいで……」
「あー、よく言われる」
謙遜するでもなく、自分の魅力を理解しているとでも言いたげに笑うと、ビールを一気にあおった。一切の嫌味のなさに感心してしまう。
「けど、やっぱこうして見てもきれいだし、百音ちゃんってモテるでしょ」
「い、いえ……ありがとうございます」
幹事の人から言われた“モテるでしょ”とはまったく違う、心から褒めてくれているのが伝わってきて、嬉しさと恥ずかしさでただ恐縮していた。
そんな会話が聞こえていたのか、お手洗いから戻った愛海はべつの席から私をじっと見ていたし、ほかの女性たちからはチラチラと居心地が悪くなるような視線が送られてきていた。
「あ、なんか飲む? 空になってるよ」
そんな視線に広瀬さんは全然気づいていないようで、私のグラスを見るとメニューを開いて見せてくれた。
「あ、私よりほかの……」
あまり敵を作るのは慣れていない。もう、ほかの女性のところへ行ってもらおうかと思ったけれど、広瀬さんは「お酒好き?」と質問を被せてきた。
「ま、まぁ……人並みですかね」
「その答えは酒好きと見たね。なに飲む? 俺は焼酎が飲みたいんだけど、みんなカクテルとかチューハイとかかわいい飲み物ばっかだし、ちょっとアウェー感あるなぁ」
私に体を寄せ、一緒にメニューを覗きこんでくる。香水ではないいい香りがふわりとして、イケメンは香りまでいいのかと実感した。
「そうだな、これにしようかな。百音ちゃんは? 飲めるんだったら飲まない?」
広瀬さんが指さしたのはよくある焼酎で、さほどおいしいわけでもないけれど、広瀬さんがあまりにもワクワクしているからとても珍しくておいしいものみたいに思えてくる。
「じゃ、少しだけ」
「やった。それじゃ、注文するね」
やがて運ばれてきた焼酎で乾杯すると、近くに手つかずのまま置かれていた焼鳥を広瀬さんが取り分けてくれた。