俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
もうそのころにはほかの女性たちもそれぞれ話をしていて、愛海も幹事の男性と乾杯していた。あまり乗り気でないのは、作り笑顔のときに愛海がよくやる、口を隠して笑う仕草でわかったけれど。
さっき彼女募集中って言ってましたけど、同じように照明やっている人がいいんですか?」
愛海のためにもせめて情報収集をしておこう。こういうのは得意だ。
「ううん、全然。そういうこだわりはないよ。ただ、一緒だったら話題ができたなーって思うくらい」
さっき新野デザイン事務所で働いているのかたずねられたときに瞳をキラキラと輝かせていたし、私を覚えていたのも照明の設計をやっていると勘違いしたからだと思ったけれど、そんなにこだわりはなかったらしい。
「あ、そういえば……照明についての知識はないですけど、前に新野さんが閂建設さんとコラボされたまちなかライトアップのときは、イルミネーションを見に行きましたよ。すごく綺麗で感動しました」
「えっ! マジで!?」
喜ばせて言ったわけじゃなく、話題のひとつとしてあげた話に広瀬さんが目を瞬かせたので、驚いてしまう。
「あ、はい。本当に綺麗で、メインへ繋がる光の道が特に素敵で……」
「マジで、マジで!? あれね、俺がやったの。しかも、その光の道! すっごいよかったでしょ」
誇らしげに言うと、串からお肉を一気に三つほど引き抜いて頬張った。
いたるところで開催されているイルミネーションのイベント。なのに、その光の道は鮮明に思い出せるくらい、ずっと印象に残っていた。
「元々建物が好きで閂建設に入ったし、照明なんてイチから勉強し直したくらい知識少なくて、ましてや屋内じゃなくて勝手が違う屋外だからね。俺にとっては挑戦だったんだけど……そっか、まだこうして思い出してくれる人がいるんだ」
さきほど見せた興奮気味の笑顔とは違い、本当に嬉しそうに穏やかに微笑んだ。