俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「じゃ、二次会はカラオケ~。全員行くのでオッケー?」
それからすっかり出会いを求めた飲み会から、本当の飲み会に変わってしまい、一次会が終わるころには足がフラついてひとりじゃ立てないくらいになっていた。
「あ、私はちょっと……」
断わるために手を上げると、その反動でよろめいてしまう。情けないくらいに酔ってしまっていた。
「俺と百音ちゃんは不参加で」
私の体を支え、幹事に代わりに返事をしてくれる。
「大丈夫? 家はどこ? 送るよ」
腰に手を回して抱き寄せると、広瀬さんが心配そうに声をかけてくれる。周りの女性たちからは「いいなぁ」「うらやましい」という声が聞こえてきた。
気がつけば、最初から最後まで広瀬さんを独り占めしていた私。ほかの女性は話すタイミングすらなかったので、この嫉妬の嵐は受け止めるしかなかった。
もし、愛海が本気で広瀬さんを狙っていたら申し訳ないことをした。あとでメッセージを送ってさりげなく聞いてみようと、酩酊した頭で考える。
「ごめんね、百音ちゃんに俺が飲ませ過ぎちゃったから。責任持って送ります」
そう言ってタクシーを停めると、私と一緒に乗り込んだ。
「えーっと、住所、言える?」
「住所……いえ、少し休んだら大丈夫なので……」
家まで送ってもらうほどじゃない。そう思って口にした言葉はちょっと意味深なものとなってしまった。だけど、気づいたころには遅い。
「……わかった」
広瀬さんの大きな瞳に、繁華街の明かりが星空みたいに映り込む。私の心を読み取ったように小さくうなずくとシティホテルの名前を告げた。
ああ、やっぱり勘違いされた? でも、もういいか。しばらく彼氏もいなくて寂しかったし、誰かの温もりを久々に味わいたい。仕事と家の往復も飽きたし、なにより広瀬さんみたいなイケメンなら一夜限りの相手にはもってこいかも。
普段から軽いわけじゃない、今日だけ、今だけ、少しだけ。
誰に言うでもなく、自分に言い訳すると目を閉じ、そのまま広瀬さんに任せることにした。