俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
タクシーに乗り込んでから十五分ほど走ると、シティホテルの前に到着した。広瀬さんはチェックインの手続きを済ませると、私の肩を抱き寄せた。
「寄り掛かってていいよ。しんどいでしょ」
エレベーターで十一階に到着すると、部屋の鍵を開ける。ドアを開くとそこはベッドとドレッサーしかないシンプルな部屋で、ほのかに間接照明がついていた。
「これ、飲んで」
立っているのがしんどかったのでベッドへ腰かけると、広瀬さんが冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、蓋を開けて渡してくれる。
「ありがとうございます……ん、……っ」
思ったより喉が渇いていて、勢いよく飲んでいると口の端から水が零れてきた。拭き取ろうとすると、広瀬さんがそっと頬に手を添えて、唇で拭ってくれる。
「っ、広瀬さっ……ん……」
優しいキスが降り注がれ、体の芯がじんと熱くなる。唇を食まれ、ゆっくりと開けられると熱い舌がくすぐるように中へ入ってきた。
「百音ちゃん……つらかったら、言って」
「ん、ぁっ……」
舌を軽く吸われると甘い痺れが走り、喉から声が漏れる。体が倒れそうになると、背中に腕を回して力強く支えてくれた。
「大丈夫?」
様子を窺うように私の顔を覗き込み、頭を撫でてくれる。
「少し、しんどくて……」
「わかった。じゃ、俺に任せてくれたらいいから」
口角を上げて穏やかに微笑むと、私を気遣いながらそろそろとベッドへ寝かせてくれた。
広瀬さんなら、大丈夫。この人なら優しくしてくれるのかも――。
そんなことをうっすらと思いながら、私の意識は酔いとともに甘く溶けていってしまった。