俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛


「……はい、その部分は変更します。ですが……」

真剣な口調なのに明るさが強すぎて軽く受け止められそうな男性の声。印象的なのに、顔が浮かばないということは飲み会で出会った人だろう。

「いや、そこを変えちゃうと空間の良さがなくなりますから! やめたほうがいいですって。オススメしません」

声のほうに目を向けると、ひとりの男性が窓辺に腰掛け、朝陽を背中から浴びている。ブラウンだと思われる髪は光によってオレンジに色を変え、キラキラとした太陽のベールをまとっているように見えた。

逆光の横顔は鼻筋が高く、瞬きをするたびに瞳は楽しげに新たな輝きをまとい、キュッとしまった唇が容姿そのもののような明るい声を発する。

こんな人、飲み会にいただろうか。でも、夢で見た男性はこの人だと確信でいるほど一瞬で目も心も奪われた。

「じゃ、打ち合わせで詰めましょう。失礼します」

スマートフォンの画面を親指で軽くタップすると、大きな瞳がすぐに私のほうを向いた。

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