俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛


「あ、起きた? ていうか、起こした? ごめんね、ちょっと仕事で」

夢よりも軽い口調で私に声をかけると、窓辺から離れ、こちらへ歩み寄ってくる。

春らしい薄手のシャツに細めのパンツというシンプルなスタイルはとても似合っていて、彼が持っている魅力を存分に発揮していた。

ただ服を着るだけでオシャレに見える人ってこういう人のことを言うんだろうと、たった数秒の間で感心する。

「あれ? 反応ないな。大丈夫? 俺のこと見えてる?」

ベッドに座ると、怪訝そうに眉を寄せて私の顔を覗きこんできて、当たり前のように私の額に手をあて、前髪を掻き上げられた。

「ちょ、やめてくださっ……! いったぁ……」

慌ててのけぞると、ベッドが隅に寄せられていたため、壁で後頭部を打ってしまった。痛む頭をさすっていると、男性がまたスプリングを軋ませて近づいてくる。

「なにやってんの、百音ちゃん」

呼び慣れた名前のように私を呼び、打ちつけた後頭部を優しくなでてくれる。

あ、この感じ――。

白い歯を零す笑顔に、昨日の記憶が蘇ってきた。

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