俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
こうして、愛海のようにわかってくれる人がいる。それに、広瀬さんのおかげで忘れられてもいた。
「広瀬さんは、そういう人じゃなかったな」
ホテルまで連れて行っても、同意の元でキスしても。私を“そういうタイプ”だと決めつけてキスしたわけでもホテルに誘ったわけでもない。
それなのに私は彼のことを“軽い”と決めつけてしまっていた。もちろん、昨日の電話は引っ掛かっているけれど。
「広瀬さん?」
「あ、ううん。なんでもない」
軽く首を横に振ると、水を飲みほして食事を終えた。
「そろそろ昼休みも終わるね。戻ろうか」
愛海に促され、テーブルに置いていたスマホを取るとメッセージの受信を知らせるバイブを感じた。
画面を見ると、広瀬さんから『昨日はごめん。会社の飲みだった』と送られてきているのが通知の窓から見える。さらに続けて『なんの電話だった?』と届いた。
「百音?」
「あ、行く」
広瀬さんからのメッセージに気を取られていると、レジ前まで行った愛海が振り返った。慌てて荷物を手にすると、私も会計を済ませることにした。