俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
男運がないといえばいいのか、ただ見る目がないだけなのか。歴代の彼氏はどうしようもない男性ばかりだった。
甘い夢のように大切に扱われたこともなければ、デートのドタキャンは当たり前だったり、同棲すれば母親のように甘えられたあげく金銭面まで面倒を見るようになってしまったり。
容姿が好みで付き合えば浮気され、真面目そうだと思って付き合えば変な性癖があったりと何度か苦い経験を重ねた。
どれもいい思い出……とはならず、私はそれを糧により素敵な男性を見つけるために恋愛のハウツー本を読んだり、ネットで注意が必要な男性の特徴などの情報を見たりするのが日課となってしまった。
些細なことで男性をカテゴライズし、決めつけてしまうクセがあるとは自覚している。だけど、もう恋愛で失敗なんてしたくないし、そろそろ結婚だってしたい。
電車が揺れると隣の人と触れあってしまいそうな混雑率一八〇パーセントの電車内で、スマートフォンの画面に目を凝らして今夜の飲み会に備える。
必死に見ている画面には「飲み会で“しっかりした男性”を見分けるコツ」というタイトルが太字で記されていた。
“他人の飲み物を見ている”、“靴を揃える”、“温度や荷物に気を配れる”……エトセトラ。しっかりと頭に入れたころに職場の最寄り駅に着いたので、画面を閉じて降りることにした。