俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「まぁ、そんなこんなでここの店長さんと仲良くなったから、俺が閂に勤めてることも知らないし、ただの友達。それだけの関係なのに、すぐにこの席用意してくれるんだから優しいよね」
嬉しそうに笑って、運ばれてきた料理を頬張った。おいしい食べ方を聞いたのに、もう忘れてしまったのか自分の食べ方になっている。
「さっきの食べ方しないんですか?」
「やるよ。でもまずは自分の食べ方。それで、聞いた食べ方して比べて考える。何事も参考程度にしておかないと、自分を見失っちゃうからね」
「……深いですね」
「深く見えたでしょ?」
得意気に笑ったところで、すべてが台無しになってしまったけれど。それさえも計算な気がして、広瀬さんのことがわからなくなる。
「それで、俺に謝りたいことってなに?」
注文した料理がすべて揃うと、広瀬さんが改まったようにたずねてきた。
「百音ちゃんになにかされた覚えないよ」
「いえ、失礼なこと言いました。広瀬さんのこと軽い人だと決めつけて、それでなにもされなかったから“意外”なんて言ってしまって。外見だけで、そういう人だって見ていたんです。すみません」
自分が誤解されてつらかったことを思い出し、胸が痛くなる。頭をさげると、広瀬さんは食事の手を止める……かと思いきや、再びフォークの手を動かしだした。
「いいよ、そんなの」
聞こえてきた声があまりにもカラッとしていたので、勢いよく頭をあげた。