俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「そ、そんなのって……」
「実際、昔は遊んでたし。ほら、俺ってノリがいいから話しやすいし、顔も割と悪くないでしょ? 会社の名前だして、いっぱいおごってあげれば女の子だって喜ぶじゃん」
自分がカッコよくて話し上手という自覚はあるらしい。だけど、それが嫌味に聞こえないのは広瀬さんの人柄だろう。
「一夜限りも全然アリだっだし、むしろ女の子から誘われるほうが多かったかな」
「そ、そうだったんですか……」
自分とはかけ離れた世界に、あ然としながらワイングラスを口元へ運ぶ。ワインがうまく喉を通らず、少しだけむせてしまった。
「この前の電話のときも飲み会してたけど、昔の俺ならどうなってたかわかんないかな。いまはもうそういうの興味なくなったし、適当にあしらう術も身に着けたけどね」
「じゃあ、あの飲み会ではなにもなかったんですね。……って、なんか尋問みたいになってますけど……」
彼女でもないのに、なんでたしかめてしまうのか。
「ないよ、なんにも」
フォークの手を止めると、ワインを飲む。その返事は疑いようもないほどさっぱりしていた。
電話口のことは気になったけれど、あしらう術も身に着いたと言っていたし、たぶんどうにかなったのだろう。
「それに、あのとき百音ちゃんから誘われてもなにもしなかったよ」
グラスを置くと、広瀬さんが真剣な眼差しを向けてきた。照明のほの暗さを相まって、すごく熱っぽく感じる。