俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「それは、私に魅力がないからですか……?」
「むしろ逆。……あのときヤッてたらそこで終わる気がした。それで……手が出せなかった」
酩酊した頭の中で、このまま抱かれてもいいと思っていた。だけど、たしかにあの時体を重ねていればこうして食事に来ていることはなかったかもしれない。
「百音ちゃんとはちゃんと関係を作りたいと思ったんだよ。酔いとか勢いに任せて抱くだけで終わりたくなかった」
広瀬さんらしい快活さが消えて、穏やかなで優しい口調になっている。心にじんと沁みて、嬉しさで鼓動が高鳴りだした。
知っている広瀬さんからは想像できない喋り方と表情。このさき、もっと彼のいろんな顔を知っていったら、私はどうなってしまうのだろう。知りたい、見てみたい。欲求が胸の奥から湧き上がってきた。
「軽かったことは否定しないよ。けど、百音ちゃんとは関係を築いていきたいと思っている。それだけはわかってほしい」
なにか返したいのに、喉につっかえてうまく言葉にできない。ただドキドキしているからだけじゃない、完全に心が広瀬さんに惹かれはじめている。
「ね、俺と付き合ってみない?」
「えっ……」
「いまは俺のこと好きじゃなくていいから、試しに。結構尽くすよ?」
広瀬さんははにかみながら、ワイングラスの足に添えていた私の手に、自分の手を重ねてきた。
「つ、付き合うって……」