俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「一番近くで……?」
「そう。軽いっていうマイナススタートも、あとはプラスになるだけだと思うと悪くないよ。俄然燃える。ね、付き合ってみようよ」
どこかの食事へ誘われるみたいなやっぱり軽い誘い。だけど、広瀬さんらしくて、まっすぐな視線からちゃんと真剣さも伝わってくる。
広瀬さんのことを、もっと知りたいと思っている。それなら、答えは――。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「やった! こちらこそ、よろしくね」
返事をする私に、満面の笑みを浮かべるとさらに身を乗り出して、唇に触れるだけのキスをした。
「ちょ、広瀬さっ……!」
「大丈夫。ここ、衝立あるから見えないし。それより、その敬語と“さん”付けはこれからナシね、百音」
いたずらっ子みたいに白い歯を見せると、イスに座り直した。
「も、百音って……」
「なんか甘酸っぱいね。ちゃんと告白して、呼び捨ての段階を経て……なんて、学生に戻ったみたいだ」
嬉しそうな広瀬さん……ではなく、涼真を見ていると、こちらまで嬉しくなってくる。
ずっと見ていたいのに、目が合うと逸らしたくなる。この浮き立つような気持ちは、涼真の言う“お試し”どころじゃなくてもうすでに恋をしている証かもしれない。