俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「涼真……?」
あまり深くならなかったキスに物足りなさや寂しさを感じていると、涼真がクスリと笑った。
「そんな顔しないで。歯止め効かなくなるから」
なだめるように私の頭をポンポンと撫でる。
「っ、な、そんな顔って……べつに私……!」
続きを求めているわけじゃない、と言おうとして言葉に詰まる。本音は、求めているから。
「なにもしてないとはいえ、最初からホテル行っちゃったんだよ? せめて、付き合いはじめくらい紳士にさせてよ。大事にしたいんだ」
名残惜しそうに私の手を取り、指先にキスをする。
「ま、次はどうなるかわかんないけどね」
さきほどまで醸し出していた色っぽさを消し去り、いたずらっ子のように白い歯を見せた。
「本当の紳士って、デート二回目で手は出さないと思うけどね」
「んー……ま、いいか、エセ紳士で」
涼真はそう言って、握ったままだった私の手を離した。もう少しだけ、繋いでいてほしかったのに。
「あ、お茶でも飲んでいく? コーヒーも紅茶もあるよ」
帰ってしまうのが寂しくて、部屋へ誘うけれど涼真は首を横に振る。
「ホントに歯止め効かなくなるからやめておくよ。ね、次はどっか行こうか。ご飯じゃなくて、楽しいことしよう」
「楽しいこと……」
そんな風にデートに誘われたことがなくて、しかも相手が涼真だから一緒になにができるのだろうかとワクワクしてくる。
「考えておくから。また、連絡する」
「うん、楽しみにしてる」
手を振って去っていく涼真を見送りながら、早く次のデートにならないかと待ち遠しくなった。