俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「あの、人と待ち合わせしてるんで……もう、いいですか?」
もうすぐ涼真との待ち合わせ時間。上崎さんと話しているところを見られて、もし誤解なんてされたらたまったものじゃない。
「今日は広瀬さんとデートですか? うらやましいな、花坂さんと一緒に一日過ごせるなんて」
「そ、そんな……」
さらに私との距離を詰めてくる上崎さんに怖くなって身を固くしていると。
「あれ? 上崎さん、だっけ」
その場の雰囲気をすべて無視したような明るい声が耳に届いた。
「っ、涼真……」
声のほうを振り返ると、にっこりと笑っているけれど、どこか挑発的に上崎さんを見つめていた。
「どうしたんですか、こんなところで」
私との間に立つように上崎さんに近づく。
薄手のネイビーのオーバージャケットにスリムなパンツは涼真が持つオシャレさをさらに際立たせていて、モデル風な上崎さんと並んでも遜色がない。むしろ、涼真のほうが目立っているかもしれない。
「ああ、広瀬さんですか。飲み会以来ですね」
上崎さんもしっかりと涼真のことを覚えているらしく、笑って挨拶をしているけれど、その笑みがなにか企んでいるようにも見える。
「覚えてくれてて嬉しいな。上崎さんはここで誰かと待ち合わせでもしてるんですか?」
さりげなく私を上崎さんから遠ざけながらたずねる。
「いえ、花坂さんをデートに誘おうと思っていたところです」
「っ、か、上崎さん?」