俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛


あまりにもストレートに目的を告げる上崎さんに、驚いて声が裏返ってしまう。慌てる私とは対照的に涼真は落ち着いていて、少しだけ考えると顔の前で両手をパンと合せた。

「ごめんなさい。デートは諦めてください」

「りょ、涼真……?」

「今日の百音の予定は俺がもらってるんで」

私の肩を優しく抱き寄せると、穏やかに瞳を細めた。その余裕っぷりがいつもの涼真とは違っていて、いちいちギャップにドキリとさせられる。

「じゃあ、ほかの……」

「ちなみに、ほかの日もダメですから。百音が俺以外の男とデートするなんて耐えられないんで、俺から丁重にお断りさせてもらいます」

上崎さんの言葉に、自分の言葉を被せて言い切ると、ニッと白い歯を見せて涼真らしい表情になった。さっきまでの落ち着いた涼真もいいけど、こっちもやっぱりいいとこんな状況なのに思ってしまう。

「もう、そういう関係になったんですか? さすが、早いですね」

「大人なら、こんなもんでしょう?」

ただの嫉妬としか思わず、平然といなす涼真の隣で私は嫌な予感がしていた。上崎さんがなにか言いだしそうな気がする。

「そうですよね、すでに一夜を共にしてますし」

「……なにが言いたいんですか? 俺、回りくどいの苦手なんですよ」

上崎さんの真意を探ろうと涼真が見つめると、彼はクッと意地悪そうな笑みを漏らした。

「花坂さん、飲み会でよく男性にお持ち帰りされるらしいですよ」


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