俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
川沿いに建てられたカフェは店内の窓から川の流れと新緑が楽しめるようにカウンターが作られていて、迷わずに私たちはそこへ座った。
「あー、うま。運動したあとって、やたらとなんでもおいしく感じる」
喉を鳴らしてレモンスカッシュを飲むと、スポーツドリンクのCMかのように爽やかに笑った。スイートルームの夜に見せた色っぽい顔なんて、いまはどこにもない。
「ホント、おいしい。それにしても、これ……明日は筋肉痛かなぁ」
普段使っていない筋肉をたくさん使い、足はすでにパンパンになっていた。
「大丈夫? あとでマッサージでもしようか?」
「ううん、平気。それくらい自分でするから」
そんなことしてもらうのは照れくさくて断ると、涼真はつまらなさそうに口を尖らせた。
「なぁんだ、ちょっとポイント稼ごうかと思ったのに」
「ポイント?」
「ほら、俺って軽いっていうマイナスからのスタートでしょ? この前だって、大事にしたいって言いながら結局我慢できなかったわけだし。早いとこプラスにしたいなって思ってさ」
たしかに付き合うとき、「試しに付き合ってみない?」と言われた気もする。だけど、まさかまだそんなことを気にしているとは思わなかった。