俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛

「涼真は……私がまだ好きじゃないって……まだ、お試しで付き合ってると思ってるの?」

「どうかな。でも、マイナスイメージは持たれてるのかと思ってる」

少しだけ瞳に影が帯びる。涼真でも自信を無くすこともあるのだと気づき、それが自分の態度でそうなっていると思うと胸が痛い。

「ないよ、もう……全然。プラスしかない。お試しなんて……とっくに終わってるよ」

「えっ、そうなの? なんだ、ネガティブに考えすぎてたのか」

ホッと息を吐いて肩の力を抜くと、レモンスカッシュを飲み干した。

「それに、涼真のおかげで私も少しずつ変われてきてるんだよ。いい影響、受けてる」

「嬉しいけど、そんないい影響ないよ、俺。真面目なのは仕事のときくらいだもん」

「真面目とかそういうんじゃなくて……」

もっと魅力的な部分はほかにあるのに。性格という部分は気づきにくい部分なのかもしれない。

「それで、あの……私は……。……私は、涼真に……」

「ん? あ、結構混んできたね。そろそろ出る?」

気づけば結構な時間が経っていて、カフェには席が空くのを待っている人が大勢いた。私もジュースを飲んでいたので、居座る理由もなくて席を立った。

「それで、さっき言いかけてたことって?」

カフェから出ると、涼真がたずねてくる。もういつでもこぎだせるよう、自転車に跨っていた。

「あ……ううん。なに言いたかったか、忘れちゃった」

私は涼真にいい影響を与えられているのだろうか――。

聞きたかった言葉は飲みこんで、涼真のあとをついて自転車をこいだ。

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