俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛


「ま、でも……気が楽といえば楽だよね」

ニヤリといたずらっ子のように笑う愛海に、私も笑い返す。笹倉さんは事務所にいるだけで緊張してしまうほど厳しいオーラがあり、教えてくれるときも回りくどい言い方だったり、難しい用語を使ってくるので私と愛海は苦手としていた。

思い込みかもしれないけれど、資格を持っていない事務員を見下している気がする。そんな風に感じてしまうほど、冷たい態度ばかり取られていた。

「おはよう、今日いい天気だね」

掃除を済ませたころにほかの職員の人たちがやってきた。男性は基本スーツで、女性はオフィスカジュアルだけどお客様のところへ行く場合はスーツのときもある。

「花坂さん、今ってどこを入力してるんだっけ? ほら、ここ最近、忙しくて朝礼なかったし進捗状況がわからなくて」

私がよく補助をしている女性の税理士さんが席に着くなりたずねてきた。

「みなみ仏具です。今日には終わると思います」

「ありがとう。じゃ、終わったら決算に入れるね」

確認すると、就業時間を待たずにさっそく仕事をはじめる。気づけばほかの人たちもみんなパソコンに向かっていた。この時期は一分一秒でもおしいのだろう。

私も同じように席へ着くと、さっそく入力をはじめた。

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