俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
きっと、もっと自分の中で変わってきていることはある。自分でも気づかないくらい些細なことだって変わっていることだろう。その全部が、プラスに向いているはずだ。
「いい影響をもらってばっかりで、私は涼真になにをしてあげられているんだろうって……それを考えてたから。……私も、涼真と来れてよかった」
零れ落ちそうになった涙を指で拭うと、ちょっとだけ笑ってみせた。
「いい影響とか、そういうの俺が与えられるわけないと思うけどな」
照れくさそうに首裏をかくと、涼真はまっすぐに私を見つめた。
「けど、与えられてるなら嬉しいし、百音だって俺にいい影響くれてるから。心配したり、不安になったりしないで」
優しい口調にうなずくと、グラスを取ろうとした手を握られた。
「それに……そういうのナシで、一緒にいたいからいるんだよ。そのへん、ちゃんと言わないとわかんない?」
口調とは裏腹に瞳は熱っぽく、握られた手も情熱的に指先に絡みついてくる。
「ちょ、涼真……お店だよ」
「大丈夫、暗いから」
私を気遣う言動が多い涼真の、強引な一面にドキリと胸が跳ねる。
「答えて」
「わ、わか……ってるよ。私も、一緒にいたいからいるんだし」
「ふーん、わかってるのかな。ホントに」
涼真は納得がいっていない様子で、手は離してくれたものの、瞳はさらに熱を帯びはじめた。
「……今日は、帰さないからね」