紅い華の少女
「その考えは彼女に失礼じゃないかな?──駿(しゅん)」
不意に雨が止んだと思うと後ろから聞き覚えのある声が聞こえて、少年──駿は振り返った。
「紫音(しおん)……」
少し驚いた表情をする駿に対して彼、紫音は傘を差しやれやれと言ったように腕を広げて首を振る。
その姿が彼にとって様になってるんだから何も言えない。
相変わらず、人の心を勝手に読む癖は治ってないようだ。
「お前もさぁ、ちっとは彼奴の気持ちも考えろよ?あの花は彼奴にとって……」
「幸福を呼ぶ花か?冗談じゃないよ。現にこのありさまは何さ」
そう吐き捨てるように紅い花を見ながら駿は言う。