紅い華の少女
「彼女は幻想だったか?」
「はっ?」
不意に紫音は突拍子もない事を言ってきて、僕は思わず顔をしかめる。
「彼奴は幻想だったか?と聞いてるんだよ」
紫音は至って真面目な様子で再度、僕を見て問い掛けてきた。真剣な目をして。
「彼女は此所に存在してない。ありもしない、そん幻だったか?」
そんな訳がない。
「……んな………い…ろ」
「はっ?聞こえない」
「そんな訳が無いって言ってんだ!」
そうだ。そんな訳がないんだ。
幻なわけがない。
現に僕は彼女と会話し、触れ合い、ずっと一緒にいたいと思えるくらい──側で笑いあっていたんだ。