笑顔でいいの?
圭ちゃんは………お兄ちゃん?
「ささ悪い。
今日はこのまま連れて帰る。」

圭ちゃんの裏のお仕事が一段落した時

怖い顔をして、笹兄にそう告げた。

そのまま引きずるようにして、連れ帰られたマンション。

玄関を開けると直ぐ

「一人にして…………………ごめん。」と謝られた。

圭ちゃんは何も悪くないのにね。

私は嫌われたくないって思って…………

「大丈夫。」と答えた。

ホントは………

不安で、淋しくて………

一人の部屋は、とっても寒かったのに。

圭ちゃんの思い詰めた表情を見ていたら

この後の台詞は想像がついた。

『仕事が思うように出来ない。
彼女とも自由に会うことが難しいから………
そろそろ元いた場所に、帰ってくれないか?』と言うもの。

圭ちゃんに言われるなら、先に言ってしまいたい。

これ以上傷つきたくないから。

「圭ちゃん。
今日ね、犯人が捕まったの。
以前、ウチに来ていた先生だった。
だからもう大丈夫なの。
明日、自分のウチに帰ろうと思ってます。
今まで、本当にありがとうございました。
圭ちゃんのお陰で、安心して今日まで過ごすことが出来たよ。
彼女さんにも、ご迷惑おかけしましたって謝っておいてね。」

そう伝えたとたん

「はぁ~っ?!」って

スゴく怖い顔で睨まれ、腕を引かれた。
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