笑顔でいいの?
「ただいまぁ。
彩、もう一人助っ人を連れて帰ったよ。」

洋介さんの『もう一人』に、疑問を持ちながら上がると

玄関に見覚えのある靴が…………

ギクッとして………回れ右をしようと踵を返すと

「あれっ、悠人のところで先生達の集まりじゃなかったの。」と

怖い顔をした圭ちゃんが現れた。

あぁ~

終わったぁ~。

嘘がバレたことと

避けていたことのダブルの後ろめたさが、押し寄せてくる。

「ホイッ。
そこで怖い顔をしてても仕方ないだろう。
咲ちゃん、どうぞ。」と笑顔で招き入れてくれる。

……………洋介さん。

そんな笑顔を見せるくらいなら

圭ちゃんが来てることを、先に教えてよぅ。

恨めしく思いながら

「……………………失礼します。」と上がる。

怒りオーラ全開の圭ちゃんの後ろ姿を見ながら

後をついてリビングに入ると

「圭ちゃんのイライラの原因だぁ!!」と笑う彩先生。

「…………………お邪魔します。」

入ったものの

何処にどうしたら良いのか分からず戸惑っていると

「咲。」と

ブスッとしたまま、圭ちゃんが隣に座るよう合図してくれた。
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