今宵、貴女を頂戴します〜探偵VS怪盗〜
「何がおかしいの!?」

アリスがイラつきながら訊ねる。ユオは、「さすが名探偵ですね」と言った。

「残念ながら、私の国籍はスペインではありませんよ。スペイン語を勉強していたんです。私の名前…ユオはフィンランド語で夜という意味なんです。私の国籍は、私しか知りませんよ」

ユオはそう言って、ドアを閉めた。ガチャンと鍵が閉められる。

アリスは、さっさとこの部屋から脱出しようと紙を広げる。そこにはこう書かれていた。

『今日も雨か
犬は鳴く
みりんを忘れ
庭でつまづきこけ
昼の淵
細さ下手
背に揺られ
寝ろ 』

日本語で書かれていた。アリスは日本語を母から教えてもらったので、日本語を話せるし、読み書きもできる。

ところどころ変な日本語になっているが、日本語は難しい。どう見てもヨーロッパ人のユオが間違えるのも仕方ないだろう。

アリスは英語ではなく、日本語で書かれているのがポイントだと考える。

頭の中に浮かべた白紙に、全く同じ文章を書く。そして、壁に掛けられた絵画を見つめた。
< 13 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop