今宵、貴女を頂戴します〜探偵VS怪盗〜
生ハムは、トキソプラズマ病に感染する危険があると知り合いにアリスは教えてもらったことがある。トキソプラズマ病とは、赤ちゃんに脳性麻痺などの症状が出る病気で、流産・死産のリスクも高くなる恐ろしい病だ。

妊娠をしているのに、それを口にしたB。Bのついた嘘は、「妊娠した」ということだろう。

空っぽだったアリスの胃の中に、おいしいシチューが入り込む。おいしさにアリスは頰を緩め、食事を楽しんだ。



食事を終えたアリスは、学校の図書室のように広く、様々な本が置かれた書斎へ誘導された。その広さと本の数に、アリスの胸は高鳴る。

「……すごい……」

もしも、誘拐されておらずユオと友達という関係だったのなら、アリスは間違いなくここに入り浸るだろう。

『ミステリー小説の入った棚を押してごらん』

そう書かれた紙が、書斎に置かれた長机に置かれている。アリスは「ミステリー小説……」と呟きながら、ミステリー小説の棚を探す。

「わあ…!」

その本棚には、コナン・ドイルやアガサ・クリスティ、江戸川乱歩など、有名なミステリー小説が並んでいる。アリスは手に取って読みたい衝動をなんとか堪えた。
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