今宵、貴女を頂戴します〜探偵VS怪盗〜
創立百周年と歴史のある高校。アリスの通っている学校だ。
アリスが教室に入ると、「アリス〜!見てみて〜!」と友達数人がスマホを出しながら走ってきた。
「何?どうしたの?」
名探偵と呼ばれていても、アリスは高校生。友達と話したり、遊びに行ったりするのは好きだ。シャーロック・ホームズとの違いは、友人関係を多く持ち、外に遊びに行ったりすることだろう。
アリスは、おもしろい動画でも見つけたのかと思った。しかし、友達の目はみんなハートの形をしている。
「ユオ様が美術館の絵を数点盗んだんだって〜!」
友達の一人がスマホの画面をアリスに見せる。そこには、美術館の屋根の上に立つ黒いスーツを着てメガネをかけ、黒いシルクハットをかぶった男性が映っていた。
その顔はメガネで隠されているが、整っていることは間違いない。友達はみんなその美貌に夢中になっているが、アリスはただ憎々しげに画面の中の男性を見つめる。
ユオは、世界中の美術館や博物館から貴重な宝物を盗む神出鬼没の怪盗だ。国籍、年齢等は不明。どんな不可能だと言われている物でも盗み出す天才だ。