子供の名前
その12
君はやっぱりどこに行くか決めてなかった
余りにも予想通りで面白かったよ
とりあえず僕達は君の母校を見ることになった
小学校の横を通って
君の中学校を遠目に見て
君がついこの間まで通っていた高校に侵入してからすぐに逃げた
僕の知らない君の思い出の詰まった場所
僕は少し寂しくなった
僕の知らない君がいる
僕の知らない君を知っている誰かがいる
僕は悔しかった
少し無口になったのはすねたから
まさにいつもの僕だった
君に諭され機嫌を直した僕はその後に海に案内してもらった
僕の地元にも大学の近くにも海はなかった
あるのは山ばかり
だから僕にとって海は凄く新鮮だった
でも
それ以上に僕を虜にしたものがある
何かわかるかな?
それは
砂浜だよ
僕はベタなドラマみたいに
砂に愛を刻んで
馬鹿にしながら笑う君を見たよ
ただただ君が好きだった