子供の名前
僕は大学から車で1時間の地元に戻り
そこから電車に乗った
各駅停車の鈍行
やたらゆっくりなペース
僕は音楽を聞きながら携帯をいじった
敢えて言うならば
極めて暇だった
車窓を眺めた僕は
草と木ばかりの景色を見て
途切れ途切れにある寂れた家屋の哀愁と
昼間から畑仕事に精を出す老夫婦とに心を洗われていた
これから行く東京シティーとは程遠い世界がそこにあった
とは言うもののそれに別段意味もなく
僕は音楽を聞きながら携帯をいじり続けるのだった
今頃君は何してるかな?
そんなことを不意に思い浮かべながら
鈍行でちんたら東京シティーに向かう僕の姿は
余りにも健気で
そしてそんな僕を僕は好きだった