ふしぎなはたけ
ケンちゃんちの畑はすごいらしい。

古いものが新しく生まれ変わって出てくるんだってよ。

畑の話は風に乗って遠くの街にまで伝わり、ついには泥棒の耳にも届きました。

一週間前、ニワトリを盗んだ泥棒でしたが、居眠りをしているあいだに逃げられてしまったのです。

まぬけな泥棒です。

もうよその家に入って何かを盗むのも面倒だなあ。

そう考えてました。

最近の家は鍵も頑丈。

なかなか開きません。

運良く鍵が開いたとしてもすぐに警備員が飛んできたりで、仕事はなかなかうまくいかないのです。

それにこの不景気。

誰にも見つからず家の中に入れたとしても、中にはろくなものがありません。

おとといなんか、やっとの思いで入った家には、腐りかかったバナナしかありませんでした。

盗んだものが腐りかかったバナナ一本じゃ、泥棒のプライドが許しません。

だから、くやしまぎれに車庫においてあったオンボロ車を持って帰りました。


「ケンちゃんちのあの畑で一儲けするか」


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